Q. スクラムでは誰が進捗を管理しますか?

スクラムにはマネージャーも管理者もいないので、スクラムチーム自身で進捗を管理します。

なお、「管理」という言葉は誤解を招きやすい言葉ですが、予め決められたコスト・納期・スコープをすべて満たすという従来型開発手法での管理ではなく、「現状を把握した上でゴールとの差分を明らかにして、それに対応する」ことを意図しています。

スクラムチーム自身で進捗を管理するとき、プロダクトオーナーと開発者がそれぞれ分担して行います

スクラムマスターは進捗を把握するときに使えるツールやプラクティスを提供したり、進捗の把握を促したりすることはありますが、スクラムマスターが主体となって進捗を管理することはありません。

プロダクトゴールに対する進捗

スクラムガイド2020では以下のような記述があります。

スプリントレビューの目的は、スプリントの成果を検査し、今後の適応を決定することである。 スクラムチームは、主要なステークホルダーに作業の結果を提示し、プロダクトゴールに対する進捗について話し合う

スクラムガイド2017では以下のような記述があります。

いずれかの時点で、ゴールに対する残作業を合計する。
プロダクトオーナーは、少なくともスプリントレビューにおいて、この残作業の合計を追跡する。
プロダクトオーナーは、前回のスプリントレビュー時点の残作業の合計と比較して、希望する期日までにゴールに到達できるかどうかを評価する
この情報はステークホルダー全員に明らかにする。

このように、プロダクトやプロダクトゴールという観点での進捗については、主にプロダクトオーナーが中心となって把握する必要があることが分かります。

スプリントゴールに対する進捗

スクラムガイド2020では以下のような記述があります。

デイリースクラムの目的は、計画された今後の作業を調整しながら、スプリントゴールに対する進捗を検査し、必要に応じてスプリントバックログを適応させることである。

デイリースクラムは、スクラムチームの開発者のための 15 分のイベントである。複雑さを低減するために、スプリント期間中は毎日、同じ時間・場所で開催する。

このようにスプリントゴールに向けた進捗については、開発者自身で検査していくことが分かります。