受託開発では発注者がプロダクトオーナーになるのでしょうか?
受託開発において、必ずしも発注者側がプロダクトオーナーになる必要はないですし、現実的には発注者がプロダクトオーナーになると機能しないことが多いです。
その理由は以下のようなものです。
- 忙しくて、プロダクトオーナーの仕事をこなすのに必要な時間が取れない
- 発注者側の社内の関係者の影響を強く受けやすい
- 発注側のマインドセットのままで、開発者と対立構造となってフィードバックループが形成されない
- 上記と同じく、プロセスを無視して、要求を押し付けてしまいやすい
- そもそもソフトウェア開発のことに詳しくない
- 結果的に、開発者たちがプロダクトの価値を理解できなかったり、プロダクトバックログアイテムごとの意図が分からないままに開発しなければいけないようなことが起こりやすい
これらの理由に合致せず、発注者自身がスクラムの経験がある場合は、発注者がプロダクトオーナーを担っても機能するかもしれません(ただしまれです)。
なお、プロダクトオーナーを選ぶための代表的な条件を以下に列挙しますので参考にしてください。
- 全業務時間のうちスクラムチームに50%の時間を、ステークホルダーマネジメントに50%の時間を使える人。そもそもプロダクトオーナーはかなり忙しい仕事なので、たくさん仕事を抱えている人は無理です
- プロダクトが属するドメインについて知識を持っている人、もしくは知識を学習できる人
- プロダクトのことを真剣に考えられる人
- なお、ステークホルダーから権限が委譲されている必要があります。なんでもお伺いを立てたり承認をもらったりする状況では進みません
プロダクトオーナーを発注者以外から選ぶ場合は、発注者を重要なステークホルダーとして扱います。 重要なステークホルダーなので、スプリントレビューに招待し、プロダクトに関する検査と適応をスクラムチームと一緒に行います。 またプロダクトオーナーは個別に時間を取って、ステークホルダーとさまざまな調整を行うことになるでしょう。