なぜ完成していないプロダクトバックログアイテムをスプリントレビューで披露してはいけないのですか?
スプリントレビューにおいて、完成しているインクリメントが少ないとか、早くフィードバックがほしいといった理由で、未完成のプロダクトバックログアイテムを披露したいと思うことがあるかもしれませんが、やめておきましょう。
理由は複数あります。
1つめは、未完成のものは、完成した状態で提供されるものに比べて、価値や機能性が不明確なため、本来の状態で得られるようなフィードバックを得るのが難しいということです。誤ったインプットによって誤ったフィードバックが行われると、最悪の場合、プロダクトが間違った方向に進むリスクがあります。 また未完成であることを明言した場合、ステークホルダーは「完成したときにフィードバックすればよい」と考えて真剣に見ないこともあります。
2つめは信頼性です。ステークホルダーは、スプリントレビューにおいて完成しているものが披露されることを期待しています。途中のものを披露することはこの期待を裏切ります。
3つめは透明性の阻害です。スクラムの3本柱の1つが透明性です。プロダクトの状態、プロダクトの進捗には透明性がなければいけません。 しかし、未完成のものを見せると、プロダクトの進捗を誤解し、リリース時期などについて誤った期待を抱かせることになりかねません。 また、スクラムチームのなかには、将来のスプリントで「未完成のものを完成に持っていく」ための隠れた仕事がたまります。これは将来のスプリントゴールとも関係ないにも関わらず時間を消費することになり、将来のゴール達成に悪影響を及ぼします。
以上の理由から、スプリントレビューで未完成のものを披露するのはやめましょう。